法定調書合計表とは?「会計事務所の実務:その5」

会計事務所
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12月末から3月にかけて、会計事務所はちょっとした繁忙期に入ります。
12月は年末調整、1月は合計表、総括表、償却資産、2月、3月は所得税の確定申告ですね。
余談ですが、この期間は税務署も忙しいので、税務調査はあまり行われません(*´з`)
法人課税部門の職員が、個人課税部門の業務を手伝ったりするらしいです。
今回は1月の業務の1つである「法定調書合計表」について書いていきたいと思います。

法定調書合計表の作成

具体的な提出書類は下記になります。
国税庁HP:給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
内容はというと、会社や個人が1月~12月に支払った給与、退職金、報酬等、不動産使用料の合計額を1枚にまとめた表になっています。これを1月31日までに所轄の税務署に提出する必要があります。中を見てみますと、それぞれについて支払った人数とその合計額(と源泉徴収税額)を記載することになっています。
このうち、要件を満たした人は、個別にその源泉徴収票や支払調書を税務署に提出する必要があります。
例えば給与ですと、その法人の役員で年150万円を超えるものや、従業員で年500万円を超えるもの。報酬ですと、例えば税理士に対しては年5万円を超えるもの。不動産使用料で個人に対して支払うのもので年15万円を超えるもの、などです。実際はもっと細かく定められています。

実際の作業手順ですが、まず「給与所得」は年末調整が終わっていれば、その集計表を転記するだけになります。また、提出範囲を満たしている人をチェックします。提出範囲については、最近は年末調整ソフトが自動的に判断してくれたりします(^-^;
「退職所得」はスポットが多いと思うので、個別に拾っていくしかないかなと思います。
「報酬等」ですが、入力済の会計データを元に集計するケースが多いと思います。直近の11月や12月はまだ入力していない場合が多いと思いますので、こちらで資料が預かれていない部分はお客様に該当の支払いがないかどうかを確認します。
「不動産の使用料等」も「報酬等」と同じ手順になると思います。
残り2つ「不動産等の売買」、「不動産等の譲受け」ですが、これもスポットが多いと思いますので、個別に確認することになります。
余談ですが、私は不動産売買業をしている法人を担当したことがあるのですが、この「不動産等の売買」や「不動産等の譲受け」の支払調書を大量に作成するので大変でした(*´Д`)
さらに余談ですが、報酬等の中にホステス報酬があります。これはキャバクラの女の子が該当しますね。これも大量になると思います。完璧にやっている会社はどれくらいあるでしょうかね(^-^;

これらは一言でいうと、そんなに難しくないです(;’∀’)
難しい計算はなく、作業といえば情報収集と集計だけです。
ただ近年の問題がありまして、それはマイナンバーです( 一一)。平成28年以降のこれらの提出義務者に該当した場合は、その源泉徴収票や支払調書にマイナンバーを記載して税務署へ提出をしなければならなくなりました。
ということは、税理士や弁護士や司法書士に報酬を支払っている場合や、個人の大家さんに家賃を支払っている人は、その方々からマイナンバーを教えてもらわないといけないということです。マイナンバーについてはまた別の機会にまとめて書きたいと思うのですが、マイナンバーの管理は厳格な運用規定のもとに取り扱いをしないといけないことになっていて、これが結構大変です。実際、個人の大家さんや、キャバクラの女の子からマイナンバー情報を得ることは難しそうですよね(^-^; 今のところはマイナンバー記載せずに提出しても、お尋ねやお咎めはないので、わからなければ未記載でやむなしかなと思います。

これで終わりではありませんでして、ほぼ全ての事業者が提出に該当するであろうメインの「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」について書きましたが、実は「合計表」は他にもたくさんあります。
国税庁HP:法定調書関係
所得税法に規定するもので、なんと43種類もあります(;゚Д゚)
ただ中小企業に関わるものは、あとはほとんどないかなと思います。私も他で作成したことがあるのは、「非居住者に支払われる…」シリーズのいくつかくらいですかね。例えば会社で賃借している物件のオーナーが、実は海外の投資家だったりすると、支払う家賃に対して源泉徴収をする必要があり、「非居住者に支払われる不動産の使用料等の支払調書合計表」を提出する必要があります。

そもそも何でこんな書類を提出しないといけないかというと、一言でいうと税務署側の情報収集のためですね。こちらが支払ったもの(経費)に対するまとめの表なので、その対象者側では所得(売上)になっているはずです。それを相手側がきちんと申告をしているかを確かめるための情報の一つにしていると考えられます。個人は数が多く、申告の意識も低い人が多いので、そのチェックのため、ということでしょうね。

合計表も、もう電子申告が主流なので、だいぶラクになりましたね(^^)
以前は提出範囲に該当する人の源泉徴収票や支払調書を貼付したり、大変でした(*´Д`)
早めに手をつけて、さっさと終わらせましょう!

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