給与支払報告書(総括表)とは?「会計事務所の実務:その6」

会計事務所
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給与支払報告書(総括表)

今回は1月の業務の一つ、給与支払報告書(総括表)の実務について書いていきたいと思います。
この記事では「総括表」と呼んでいきます。
(1月の3点セット業務のうちの1つ、「法定調書合計表」についてはこちらの記事をどうぞ。)

提出から給与天引きをするまでの流れ

会計事務所としての総括表の業務は何かというと、年末調整を行ったあとに、その源泉徴収票をその従業員が住んでいる市区町村へ提出することです。これは年末調整を行っていない人(退職者や、いわゆる乙欄の人など)も含め、一度でも給与を支払った人の分は、全員分を提出する必要があります。1月末期限の業務はここまでです。
これによって各従業員の住民税の申告がされ、市区町村側で住民税が計算がされていきます。そして「そのままその会社に所属している人の分」は、5月頃に各市区町村から通知がきて、6月の給与から年税額を12等分した新しい住民税の額を、毎月給与天引きしていくことになります。この給与から住民税を天引きをすることを「特別徴収」といいます。天引きしたのち、これを基本的には翌月10日までに、会社が支払っていくことになります。支払いについては、その会社の従業員が常時10人未満の場合は、会社が納付する時期を半年に一度(12月10日と翌年6月10日日)にできる特例(納期の特例)もあります。

これに対し、退職者(退職予定者)などは、住民税を給与から天引きすることができませんので、自分で支払っていくことになります。これを「普通徴収」といいます。

この「特別徴収」にするか「普通徴収」にするかは、総括表を提出する際に、従業員ごとに選択をします。原則として、そのまま勤める人は「特別徴収」にし、下記の場合は「普通徴収」にします。
普A:総受給者数が2名以下
普B:他の事業所で特別徴収[乙欄該当者(扶養控除等申告書の提出がない者)を含む。]
普C:給与が少なく税額が引けない(年間の給与支給額が930,000円以下)
普D:給与の支払が不定期(給与が毎月支給されない)
普E:事業専従者(個人事業主のみ対象)
普F:退職者又は退職予定者(5月末日まで)及び休職者(休職により4月1日現在で給与の支払いを受けていない場合に限ります)

A~Fまでの記号がありますが、これを各人ごとに明記して提出します。

総括表のちょっとした実務の歴史

昔から「特別徴収」が原則ではあったのですが、数年前までは規制が弱く、継続勤務する従業員についても「普通徴収」が選択できていました。「特別徴収」にしないといけないのに、「普通徴収」にすることが、問題にならずにできたということです。このA~Fの理由も付す必要はありませんでした。「普通徴収」にする理由は、労使双方にありまして、会社側からみると、住民税を天引きして支払うという事務が結構面倒だからです。給与計算に反映しなければいけませんし、各市区町村ごとに納付書があるので管理が面倒です。また、従業員側からすると、給与の手取りが減って嫌だということです。実際に負担する額は変わらないのですが、自分のタイミングで支払いたいから、ということが理由です(^-^;
近年、特別徴収の強制力が強まるようなお達しが、各市区町村から発せられています。これは普通徴収の場合の住民税の未払いが多かったことが背景にあるのではないかと思います。税収が滞らないように、会社から支払ってもらおうということですね。会社側からすると、事務が増えて面倒なだけですよね(*´Д`)

実務の実態

実務上、数年前までは年末調整の資料に従業員が個別に「住民税は自分で支払うようにして下さい」のようなメモ書きを入れてくることがちょこちょこあり、こちらとしてはトラブルになるのも困るので、希望通りにしていましたが、最近は特別徴収が当たり前になってきている感があり、そんな希望を言ってくる人もほとんど見かけなくなったように思います。
ただ、そういう人も稀にいらっしゃいます。そこは社長に相談し、「本人の希望通りにしてください」と言われた場合は、仕方がないので「普F(退職予定)」などとして普通徴収で提出してしまします( 一一) そのあとまた翌年まで勤務していたりするのですが、今のところ「特別徴収にすべき人じゃないですか?」のような突っ込んだお尋ねは市区町村からはないです。何かしらの理由が付されていれば普通徴収にできてしまうようです。

総括表も電子申告ができるようになって、だいぶラクになりました(^^♪
以前は、源泉徴収票は、従業員1人につきA4用紙に4分割で印刷され、それぞれ「受給者交付用」「税務署提出用」「市区町村提出用2枚」と分かれていました。これを切り分けて、1人につき市区町村提出用2枚を、各市区町村に提出していました(*´Д`) さらに提出の際に、普通徴収としているのに間違って特別徴収になって通知がきたりすることが多かったので、普通徴収の人は源泉徴収票に目立つように赤インクで「普通徴収希望」というゴム印を押したり、印字設定したりしていました(*´Д`) さらにこの郵送物が大量になるので、どの市区町村にどこの会社の何名分を提出したかどうかの細かい控えを取らなかったりしました。実際6月になって課税の通知が来なかったりして(提出したかどうか不明)、そこそこのトラブルになっていました。
電子申告だと設定が若干手間ですが、郵送するという物理的なコストはかかりませんし、履歴はしっかり残るので安心です。ホント良くなったと思います(^-^;
ちなみに「税務署提出用」は「法定調書合計表」の提出の範囲に該当した人について、合計表に貼付して提出するためのものでした。

以上が総括表についてでした。
年末調整に続きですが、各従業員1人1人のことなので、細かくて気を遣うといった業務ですね。
1月3点セット業務の1つ「償却資産税の申告」についても書きましたので、ぜひご覧ください。

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