会計事務所とウィズコロナ

会計事務所
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新型コロナウイルスの影響が出始めてから、だいたい半年くらい経ったでしょうか。この間、たくさんのことが変化しましたね。今は夏真っ盛りですが、外ではみなさんマスクをしてますよね(*´Д`) これまでに見られなかった光景です。以前の状態に戻ることが一つの理想だと思いますが、これはなかなな難しい感じがします。そうすると、このウイルスとどう付き合っていくかを考えないといけませんよね。
私が働いている会計事務所の業界でも大きな影響を受け、働き方やサービスについて、見直す動きが出ています。今回は会計事務所が今後どのような変化していくのか、記事にしてみました。

働き方改革・・・

新型コロナウイルス以前から、「働き方改革」については議論がされて、色々検討がされていました。一つはクラウド会計の導入で、いわゆる記帳業務を自動化して、作業部分の業務を効率化するというものがありました。代表的なものとして「フリー」「マネーフォワード」といったベンチャー企業がこれを押し進めていました。これに影響されてか、従来からのメジャーなシステム会社である「JDL」、「ミロク」、「弥生」、「PCA」なども、記帳業務の自動化について研究開発し、同じようなサービスをリリースするようになりました。
この動きを新型コロナウイルス後に引き直すと、テレワークの導入について考えるようになりました。会社に行かずに自宅で作業を行う、ということですね。新型コロナウイルスの感染を考えると、やはり移動のリスクは大きいですよね。現状、自宅で「申告書を作成する」ということは税理士法違反になる(らしい)ので、テレワークでは、記帳業務の作業とチェックがメインになると考えられます。これについて、やり方としては主に下記の3パターンがあると思います。

(1)お客様側で全てのデータをアップロードしてもらい、会計事務所がチェック・修正をする。
これはお客様側で、通帳データやその他領収書や請求書データなど、全ての資料をアップロードしてもらい、ひと通り記帳がされたものを、会計事務所がチェックと修正を行う方法です。もともと自計化している場合では、お客様側で、原資料を全てクラウド上にアップロードしてもらう代わりに、記帳が自動化されるので入力作業の手間は減る、といった感じです。会計事務所は、これまで担当者が会社に伺って帳簿と原資料をチェックしていたものを、アップロードされたデータをもとに、自宅でチェックことになります。もともと自計化できるくらいの経理能力のあるお客様であれば、可能だと思いますが、もともと記帳代行から請け負っているお客様の場合は、通帳をクラウド会計と連動したり、スキャナーを用意してもらったりと、なかなかハードルが高い方法になると思います。

(2)資料は郵送で預かり、データのアップロードから会計事務所側で行う。
この方法の前提としては、記帳から請け負っている場合になると思います。お客様の手間を増やさないよう、これまで通り資料は郵送で預かり、データのアップロードは社内で行い、ひと通り自動仕訳されたものを、自宅でチェックと修正を行う方法です。全てをアップロードするのはなかなかの手間でして、最初から記帳してしまった方が早いケースもあります(^-^; メリットとしては、アップロードしたデータ(領収書や請求書)はデータとして残るので、いつでも確認できる、ということはあります。
やり方としては、顧客担当者が週に2、3日出社し、その日はアップロードを中心に行い、残りの日は自宅でチェック作業を行う方法か、会計事務所側でアップロード担当者みたいな方を指名して、その方には申し訳ないですが基本的に出社して頂き、ひたすらアップロードを行い、各顧客担当者はそのデータを自宅でチェック作業を行う、ということが考えられます。

(3)(1)と(2)の折衷方法
3つ目は、(1)と(2)の間を取る方法です。例えば、通帳とクレジット明細(経費)のクラウド連動だけはお客様側で行ってもらい、その他の資料は郵送でしてもらったものを、会計事務所がアップロードをする方法などが考えられます。(2)の場合、通帳とクレジットカード明細を紙で預かってそれを自動化依頼をすると、クラウド会計会社側で2、3営業日を要することなり、計画通りに進めることが結構大変です。この部分だけでもお客様側で行って頂けると、会計事務所側としては、かなり助かります。

サービス内容についての検討

いずれにしても、クラウド会計の導入で、記帳業務の自動化とテレワークは親和性が高いので、セットで検討していく必要があると思います。ただ導入するにはいくつかのハードルがあります。まずはセキュリティの問題です、いずれにしてもデータを自宅で見れるようにするということを広い意味で捉えると、データを社外に持ち出すということになりますので、このリスクについてどう対処するかという問題があります。セキュリティ問題についてしっかり対策を練っていることと、時代や環境の変化でテレワークをせざる得ないということを、何とか理解して頂く必要があります。
そしてテレワークを効率的に導入しようとすると、実際の作業として、お客様側の協力が必要になります。その場合に問題になるのが、会計事務所の売上である顧問料についてです。恐らくですが、お客様側の作業が増えて協力をしてもらうことになると、顧問料の値下げの話が出てくると思います。ここで会計事務所は次の判断に迫られると思います。

(1)値下げに応じる
これはシンプルに値下げに応じてしまう方法です。顧問契約の維持を考えると、1つの選択だと思います。ただ、このままでは利益が下がってしまいますので、別の対策として、顧客数を増やすことが必要になります。本当に作業効率が上がるのであれば、担当顧客数は増やせるはずですので、効率の良いやり方を構築し、数を増やすという選択をする必要が出てくると思います。ですので、値下げをする場合は、作業効率を格段に上げるように取り組む必要があると思います。

(2)値下げは行わず、サービス内容で補う
この方法は、値下げはせずに、その代わりにお客様に提供するサービスの質を上げる方法です。考え方としては、作業効率が上がり、これまで記帳業務やチェック業務に費やしていた時間が短くなるので、その時間でお客様に提供する商品を開発して、付加価値を高める方法です。この方法を取る場合は、商品開発をするスキルも必要になりますし、それに対応できる人材の確保と教育が必要になります。

(1)の方法で、「数を増やす」というのは、今のご時世なかなか難しいと思います。新型コロナウイルスの影響で事業縮小や倒産に追い込まれる方もいらっしゃる中、例えば新しく事業を始める方というのは激減していると思います。
(2)の方法は、大きく考えると会計事務所の方針を転換するということにもなると思います。そうすると、その考え方についていけない人や、提供サービスにレベルが追い付かない人は、辞めてしまうかもしれません。

人材採用

そういった中で、私は人材採用について、不況になると良くも悪くも景気に左右されない会計事務所業界は人気が出るので、人材採用はしやすくなるのではないか、と考えていました。
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これについて、大きく考え方は変わっていないのですが、最近少し思うところがあります。仮に上記のようにクラウド会計やテレワークが進んだ場合に、作業効率が上がるようになると、これまで並みに、そんなに多くの人材を必要としない時代が来るのではないかと、最近思っています。しかも顧客数の増加も大きく見込めないとも考えられますので、たくさんの採用をする必要はなくなってくるようにも思います。これからしばらくは求職者数が増えるように思いますが、将来的には、採用の募集数が減り、連動して目指そうとする人も減ってくるような気がしています。

まとめ

会計事務所業界の将来を考えると、やはり二極化していくような気がします。大手の会計事務所はクラウド会計やテレワークを積極的に進めると思いますし、ブランド力もあるので安定して生き残っていくでしょう。また、もともと1人~3人程度の少数で経営されている会計事務所は、フットワーク良く臨機応変にサービスをすることで、生き残っていけるような気がします。中規模クラスの会計事務所は選択を誤ると、顧客も従業員失っていく可能性が出てきてしまうような気がします。AIの進化でなくなってしまう可能性のある職業の上位に税理士がランクインするくらいですから、今後の経営判断は非常に重要ですよね。なかなか他の会計事務所の情報は得られないですが、今は大学院に通っている関係で、横の情報も入ってきます。色々参考にして、乗り切っていきたいと思っています。

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