税務調査の連絡が来たら・・・「会計事務所の実務:その11」

会計事務所
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信頼関係がどちらに転ぶか・・・

税務調査って、会計事務所やお客様にとっては、気持ちが良いものではないですよね~(^-^; 会計事務所の担当者にしてみれば、テストの採点をされるようなものです(*´Д`) 税務調査の結果が満足いくものであれば、社長との信頼関係が増し、その後の業務もやりやすくなっていくメリットもありますが、逆に良くない場合は、顧問契約の解除に直結したり、ヘタをすると訴訟になるデメリットもあり、お客様との信頼関係が大きく揺れる業務になります。今回はその税務調査の概要的な部分について書いていきたいと思います。

税務調査にはシーズンがある

税務調査は、慣行としてのシーズンがあります。順を追っていきますと、まず税務署の人事異動が毎年7月10日付で行われます。7月10日に新しい配属先への異動が行われ、そこから新しい組織で動いていくことになります。ですので、税務調査は7月10日から新しいシーズンが始まると考えて良いと思います。税務調査は、各税務署や部署ごとに、年間で行う税務調査の「件数」や「追徴税額」の「ノルマ」のようなものが設定されると言われています。最近はあまり厳しいノルマは課されないようですが・・・。その達成に向け、調査官たちは動いていきます。
シーズンとしては大きく2つに分かれます。
1つ目のシーズンは、人事異動後の7月から翌年1月頃までの7か月間です。この期間は、調査官たちは本気で調査を行いにやってきます(^-^; 調査の対象となる業種や会社をよくよく調べて、追加で徴収できる税金が多くなりそうなところを狙ってやってくるようです。ですので、いざ税務調査を行うと、調査官側はあまり妥協をしません。比較的時間もかけ、じっくり調査されることが多いです。ですので、夏から秋にかけて調査の依頼がくると、会計事務所の担当者は「まじかよ~・・・」と気持ちが下がります(^-^;
2つ目のシーズンは、その後の3月から6月までの4か月間です。個人の確定申告時期である2月~3月前半に税務調査の依頼が来ることはあまりありません。税務署も繁忙期に入るからです。確定申告時期は、法人課税部門の方も、個人の確定申告の対応をしたりするそうです。
この3月から6月の期間は、ノルマの1つである「件数」を稼ぎにやってくると言われています。ですので、あまり時間をかけず、こちらからの交渉にも比較的のってもらい、あまりに逸脱した内容でなければ、サッと終わらせてくれることが多いです。7月に人事異動があり、仕掛かった案件については、基本的には人事異動前に終わらせるといった慣行があります。
我々会計事務所の担当者の心持ちとしては、夏から秋に税務調査の依頼があると気分的には「どんより」し、春にくる税務調査は「サッと終わるかもな~」といった感じになります。

第一報は会計事務所にくるが・・・

税務調査は、まず第一報としては、お客様の所轄の税務署から、税務代理を行っている会計事務所に電話で、税務調査を行いたい旨の連絡が入ります。そこから会計事務所と会社側の税務署のスケジュール調整をし、後日に1日か2日程度、該当の会社で行います。
ただ、まれに連絡なしで調査官が突然会社に、「今日、今から税務調査を行いたい」とやってくることがあります。これは、後日の調査だと何かしらの仮想隠ぺいがされる可能性があると、考えられた場合です。例えば、「現金商売なので、あとで隠されないよう、今の売上の実態を確認したい」、「多額の給与が経費になっているが、従業員はちゃんと存在しているのか」、「何かしらの裏を取られている」などの場合です。この場合でも、基本的には任意の税務調査であり、強制力はないので、社長には、時間もないし、資料も揃ってないので、後日改めてもらうようにしてもらいます。場合によっては我々からそのようにお願いします。何も後ろめたいことがなかったとしても、実際は何が出てくるかわかりませんし、突然来られて対応するのはあまり気分が良くないですよね(^-^; 

税務調査の日に行うこと

税務調査では、ます冒頭に会社の概要や社長の経歴、仕事の流れについて、調査官から社長にヒアリングがあります。社長には事前に聞かれる内容などを伝えておき、あまり余計なことは言わないようにお願いしておきます(^-^; おしゃべりな社長だと、ちょっとした発言から、知られたくないことがバレてしまったりするからです(^-^; その後、実際に資料の確認に入りますが、おおむね次の資料を用意しておくことが必要です。
・会社概要
・組織図
・総勘定元帳
・請求書や領収書の原資料
・源泉徴収簿
・契約書
・株主総会議事録
・棚卸表
・就業規則などの社内規定

元帳や請求書、源泉徴収簿などは、基本的に過去3年分を要求されます。元帳を中心に、取引と処理の確認をしていきます。

もし、本当に何もなければ、その日に指摘事項だけ説明され、「今回はこれで調査終了とします」となって終わりになります。ただ、多くの場合は現地調査はいったん終了し、後日に問題点を調査官と会計事務所の担当者で議論をし、落としどころを交渉していくことになります。

結局、日頃のコミュニケーションがものを言う

税務調査で何も議題に上がらないで終えることは、一見良いように思えますが、私は100点ではないと思っています。税金って、できれば払いたくないと思うのが人間ですよね(^-^; 税金は法律で決められていて、その法律の解釈によって税金の額も変わります。たぶん、同じ会社で税理士100人に決算を行わせたら、100通りの決算が出来上がると思います。例えば簡単な例ですが、社長の意向で「この支出を経費にできないかな?」と問われ、「できません」と言うか、「保証はできないが、検討次第でやってみる価値はある」と言うかです。後者の場合では社長にリスクを良く説明し、ご納得いただいた上で実行すれば、仮に否認されても納得はしてもらえるはずです。攻めずに固い決算を行えば、税務調査では問題ないかもしれませんが、余計に税金を支払ってしまっている可能性もあります。最終的には社長の意向と、税理士のスタンスによるのですが、先ほどの後者のような日頃のやり取りが、とても重要なように感じます。

今回は概要的な部分を書いていきましたが、実際の税務調査では様々なことが発生します(^-^; 税務調査は楽しいものではありませんが、こちらとしても非常に良い経験をすることになります。具体的な事例については、またの機会に書いていきたいと思います。

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