「為替スワップで大損も…」会計事務所での強烈な実体験①

会計事務所
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会計事務所に勤めていると、顧問先で様々な事象が起きて、いろいろな経験させてもらえるなーと感じます。今回は私が経験してきた中で、強烈だった事柄を記事にしていきたいと思います。

為替スワップ取引で大損・・・

とある会社様(A社とします。)の話です。もう何年も前の話になります。A社は海外から商品を輸入して日本で売る、といった事業をしていました。業歴も何年もありました。当時、なかなか業績も上がっていなかったのですが、とある銀行からの営業で、「為替スワップ」を契約してしましました。契約内容はカンタンにいうと下記のような内容でした。
・毎月200,000ドルを、1ドル120円で買う。
・(当然ですが、)そのドルは仕入れ代金に使ってよい。
・月末の実際の為替レートと120円との差額は、毎月精算する。
・契約期間は3年間

スワップなので、差額決済です。
A社としては、月末為替レートが130円になっていれば、200,000ドル✕10円=200万円儲かりますが、110円になっていたら逆に200万円損をして、この200万円を支払う必要がある、といった契約です。かなりリスクのある契約ですよね(;’∀’)

このA社は税理士替えでいらっしゃった会社だったのですが、お会いした時にはちょうど契約期間の3年が経過する頃でした。結果、為替は契約時からどんどん円高に振れていき、1ドル90円くらいになっていました。毎月600万円近くの損失です(;゚Д゚) A社は毎月この為替差損を支払っていける余裕はなく、最終的にこの契約で2億の負債を抱えていました(*´Д`)

銀行とは毎月支払いについてのやり取りをしていて、一度預金を差し押さえられたりしました。ただ、その後は本当に資金もなく、何だかんだで3年経ってしまったそうです(@_@) 銀行からは、「この負債を借入金に振り替えて、毎月返済する方法もできる」などとを提案されたそうですが、A社としては「契約当時、スワップのリスクなどについてまともな説明を受けていない。応じられない。」として、押し問答が続いていました。

そこでA社に追い風が吹きました。
当時、リーマンショック後の不景気で、中小企業は大変な状況でした。そこで金融円滑化法なるものが施行され、「借入返済に苦しんでいる中小企業からのリスケの要望はなるべく受け入れるように」といった風潮になりました。また、当時このスワップ契約がそこそこ流行っていて、A社のようの大損をした会社が多くあったそうです。そんな中、これで大損をしたとある社長が、悩んだ果てに自殺をするという事件が起きたそうです。さらに、「このスワップ契約のリスクについて、銀行の説明が足りなかった」と意見する人たちも多く現れるようになりました。

顛末…

そんな世論になり、A社に対し銀行はうるさく言わなくなってきました。
そしてしばらくして、その銀行からA社に対し、この2億の債権を債権回収会社(サービサー)に売却したとの連絡がきました。
当時、この取引も当時結構見かけました。銀行が保証協会の保証をつけずに独自で融資したもの(プロパー融資)について、回収見込みがなくなってきた債権については、銀行はサービサーと呼ばれる債権回収会社に売却してしまうのです。サービサーはだいたいその銀行の子会社だったりするのですが。銀行は不良債権を抱えていると金融庁から怒られてしまうので、いっそのこと損をしてでも売っぱらってしまった方が良かったりするのです。

あとの支払いについてはサービサーと相談して決めてくれとのことで、そこで社長から「いくらで交渉すればいいかな?」と私に相談がありました。私は周囲の情報で、「サービサーは銀行から不良債権を1円で仕入れている」と聞いていたので、社長に「たぶん1円で仕入れているので、とりあえず100万円で話してみたらどうですか」と伝えました。そうしたらその通り100万円で合意できてしまいました(^-^; さらに続きがあり、分割払いでまず20万円を支払ったのですが、そのあと何も催促がなく、そのまま終わったような感じになってしまいました(^-^; 
サービサーも結構いいかげんだなぁと思いつつ、「100万円で」と私がアドバイスしたことに社長は妙に感謝していて、こちらとしては良かったなと思っています。
A社としては粘り勝ちです(^-^; 2億円の負債が20万円で済んだ訳ですから。先ほどの「この負債を借入金に振り替える」契約をしてしまっていたら、もっと面倒だったと思います。

そもそも、うかつにスワップ契約してしまったA社も悪いのですが(^-^; かなりイレギュラーな話だと思いますが、経営には「粘り」が重要なのだなと、思い知らされた出来事でした。

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