交際費とは?「オートオークション事件」租税判例百選を読む③

2科目免除大学院
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2科目免除大学院、入試対策!

4月からの2科目免除大学院入学に向けて準備を進めています。試験は「小論文」を採用している大学院がほとんどで、「法律」に関係が出題が多いです。ただ、試験問題は法律についての専門的な知識を問うものではなく、参考文章を1つ読ませて、「法律を学ぶ意味についてあなたの考えを述べよ」のような感じの問題が多いようです。
とはいえ難しいですよね(^-^; 最近はアマゾン「法学入門」なる書籍をいくつか購入し、がんばって読んでいます((+_+)) ちなみに租税法のバイブル、金子宏先生の「租税法」もこのたび購入しました(^^) 

租税法 金子 宏(著)

ちょっと高いですが、出願書類の「研究計画書」を作成するのに早速、役に立ちました!分厚いので、机の上が充実して気持ちも充実しています(^-^;
もう1冊、「ケースブック租税法」も合わせて用意しておきたいですね。こちらは金子宏先生ほか著名な先生方です。

ケースブック租税法 第5版 金子 宏ほか(著)

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さて、今回は租税判例百選のご紹介の3回目です。過去の記事は下記をどうぞ。
・租税判例百選を読む①…「脱税工作のための支出金の損金性」
・租税判例百選を読む②…「メガネ訴訟」

租税判例百選(第6版)

交際費の意義…オートオークション事件(東京高裁平成5年6月28日判決)

交際費の意義です…。前回の法人税の試験の理論で出題されました…。ある程度は書けたと思うのですが不合格だったので…、苦い思い出の題材です(*´Д`) 話を進めます(^-^;

【事実の概要】
X社は中古自動車のオークションを開催する資本金額1億円の法人です。このオークションは不特定多数の者が自由に参加できるのもではなく、X社の会員でないと参加できません。X社はこのオークションで「抽選会」を催し、その景品のために購入した費用を(交際費ではなく)「販売奨励金」として損金算入しました。この「抽選会」はオークションに最後まで参加した者のみが対象であり、オークションでの購入金額や数量に関係なく、公平に抽選に参加できるものでした。
この「販売奨励金」についてY税務署長は、「交際費に該当する」として更正処分を行いました。
X社はこの更正の一部等の取り消しを求めて提訴した、という事件です。

これ、専門学校で事例として教わりました(^-^; まさに「交際費の意義」がポイントです。
『交際費とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。』です。いちおうこれはパッとみで思い出せました(^-^;

【結論】
控訴棄却。その後、上告も棄却され確定。ということで、この費用は交際費とされました。
結局、シンプルに交際費に該当するかどうかが論点ですが、下記により交際費に該当するとされました。
①X社の会員でないと参加できないので、景品を交付する相手は「事業に関係のある者」である。
②景品の交付はその会員に対する贈答であり、親睦度を密にして、取引関係の円滑化を図ったものである。

例えばですが、誰でも参加できるような、不特定多数の者を対象にした「海外旅行プレゼント」みたいな費用は、交際費にはならないとされています。販売促進費や広告宣伝費になりますかね。

X社は「売上割戻だ!」とも主張したそうですが、1台も購入しなかった人も参加できる条件だったら、それはムリですよね(^-^;

そのそも、なぜ交際費だとX社は困るのかというと、交際費だと損金にできる額に限度があって、限度を超えると支出しても損金にならず、その分の、税金は減らないからですね。ちなみに現行制度は下記になります。
<損金算入限度額>
・期末資本金の額が1億円以下の法人…年800万と接待飲食費の50%相当額のいずれか大きい方
・期末資本金の額が1億円超の法人…接待飲食費の50%相当額

解説に、立法趣旨が書いてありました。
昭和29年にできたそうですが、その時の趣旨は、「冗費を節約して企業の内部留保による資本蓄積を促進するため」だったそうです。その後、昭和40年の改正で「資本蓄積の促進というよりは、交際等等の支出自体の抑制のため」と、考え方が変わっていったそうです。個人的には、交際費を使える企業は使って、その分、税金が減っても良いのではないかと思っています(;’∀’) 近年は大企業の内部留保が多く、お金が回っていないことが問題になっていますよね。交際費を支出するということは、相手は売上になる訳ですから、経済は回りますよね。そこに税金の規制が入ると、やはり支出は委縮する気がします。過度や不適切な支出は、きっと株主達の目で、ある程度は抑制がされるとも思います。中小企業は800万円まで枠がありますが、そんなに使える企業はありません…。大企業がお金を使いやすくする制度にすれば、大きなお金が動く訳ですから、経済としては良い方向に動くのではないかと思います。

また次回をお楽しみに!

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