税理士との顧問契約の形態はどんなものがある?「会計事務所の実務:その8」

会計事務所
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会計事務所のメイン業務は、詰まるところ「お客様が納める税金の計算をすること」ですが、それに至る「過程」や枝葉の業務が非常に重要でして、この「過程」の業務に会計事務所ごとの特性があり、この「過程」の内容で顧問契約が決まる感じになります。基本的には法人も個人も年に1回税務申告が必要で、その申告業務を1区切りにしたような顧問契約になります。今回はその顧問契約の形態について、まとめていきたいと思います。

基本的には打ち合わせの回数

先ほど会計事務所のメイン業務は「税金の計算をすること」と言いましたが、この計算は実際は税務のソフトが正確に(そのチェックは必要ですが(^-^;)行ってくれるので、計算すること自体の付加価値はほとんどないと思っています(^-^; 1年間事業を行ってきた社長に対して、1年間何のアドバイスもなく、申告のときの年に1度だけの打ち合わせで、
担当者「今年の利益は1,000万円だったので税金は300万円になりました。月末までに支払ってください。」
社長「はいそうですか。正確に計算してくれてありがとうございました。」
とはなりません(^-^; この納税に至るまでに、いかに社長の納得感を得られるかがポイントになります。この納得感を得るには時間と打ち合わせの回数が必要になります。多くの場合は、この打ち合わせの回数によって、顧問契約内容が決まってきます。 

年に1回のみの打ち合わせ契約…レアケース

前の例のような年に1度のケースも、たまにはあります。それは、そのお客様の業績や経営内容に毎年ほぼ変わりがなくて、経営課題もあまりなく、納税額も毎年同じような場合です。お客様が会計事務所に求めることもあまりなく、こちらとしても提供できるサービスやアドバイスがあまりない場合です。例えば代々家族経営されていたり、社長1人の会社だったりで、あまり変化の起きない会社や、不動産賃貸業をやられていて、毎年の売上や利益がほぼ一定の会社です。このような場合は毎月打ち合わせをする必要もないので、極端な場合は年に1度の打ち合わせで完結させる契約になります。いつも通りが「納得感」に繋がることになります。この場合は顧問料も低い設定になると思います。

毎月や3か月に1度の打ち合わせ契約…中小企業との一般的な顧問契約

毎月もしくは2か月や3か月に1度、打ち合わせをする内容で顧問契約を結ぶ場合です。多くの場合はこのようにされているのではないでしょうか。基本的には月々の試算表をベースに会計事務所オリジナルのレポートを作って提供をします。このレポートの内容は会計事務所によって様々だと思いますが、ポイントとしては、現状把握と、このまま推移すると納税額がどうなるかがわかるような資料になっていることが重要だと思います。具体的なレポートの書式や担当者の話し方については別の機会にまとめたいと思いますが、社長とスムーズに話せるようになるための、1つのツールになる感じですかね。節税対策など、事前に行っていきます。決算月には2か月後の納税額がおおよそ提示でき、「納得感」を得て頂く感じです。毎月打ち合わせをする契約の場合は、顧問料も高めの設定になると考えられます。

大規模な会社との契約の場合

大きな税理士法人が、上場会社やそれに近いような大きな会社と顧問契約を結ぶ場合は、個別に対応した顧問契約になると思います。会計事務所の担当者が相手の社長と直接打ち合わせをすることはほぼなく、経理担当者とのやり取りがメインになるような場合です。記帳は自計化されていますので、その帳簿チェックのレビューと、申告書作成業務がメイン業務ですね。税務以外の経営課題については、各分野の専門家がそれぞれいるので、他分野の相談をされることはほぼありません。税務に特化した形で業務ができ、効率は良いですが、高いレベルを要求されます。また、責任も重くなるので、顧問料はかなり高めになると考えられます。

望ましいのは…

大企業との顧問契約は特殊なのでさておき、中小企業との顧問契約においては、私の考えとしては定期的にお会いして打ち合わせさせて頂く契約が望ましいと思っています。年1回契約だと一見ラクそうにみえますが、1年分を一気に処理していくのはなかなか大変ですし、事前のアドバイスはできないことで合意していたのにも関わらず、普段コミュニケーションを取っていないので、「こんなに税金がかかるなんて聞いていない!」と、クレームになったりします(^-^; また、資料のやり取りもルーズにされることも多く、期限ギリギリに業務をすることになったりして、精神衛生上も良くなかったりします(@_@) 毎月契約であれば、毎月打ち合わせに向けて準備して臨むので、異常などに早めに気づくことができ、質の良いサービスが行えている気がします(^^)

注意したい、赤字に陥るケース

少し話が反れますが、会計事務所の一担当者が、契約のことをどこまで意識して業務を行っているか、上の人間がきっちり見ていく必要があります。例えば経験の浅い担当者は、社長に気に入られるため一生懸命業務をこなそうとし、決められた訪問頻度が3か月に1回なのに、毎月訪問したりします。また、そこそこできるようになってきた担当者は、社長から「わが社の営業会議で使う、予算と実績の比較資料を作ってよ」などと言われ、パワポで頑張って作ったりします。
心意気は非常に買うのですが、会計事務所側の採算とマネジメントの観点からすると良くないですよね(^-^; 確かに担当者からすると「それは契約外なので、別途費用がかかります・・・」となかなか言いづらい気持ちもわかります。ただ、法律に携わる業務を行っている以上、契約ごとについてはしっかり管理していくべきじゃなかなと、個人的には思っています。

最近の顧問契約の傾向

最近ではクラウド型のサービスが増えてきていて、顧問契約についてはさらに多種多様になってきています。やり取りはチャットで済んだり、打ち合わせはWEBでできてしまいます。このような世の中の流れに、われわれの業界も合わせていかないといけないなと思います。

WEB会議になると移動時間がなくなるので効率良くなって良いなーと思う反面、その分は社内にいる時間が増えるので仕事は増えるだろうし、外に出てちょっと自由な時間が減るだろうし、移動の電車で睡眠時間が減るだろうし、便利になって良いことばかりでもないなと、複雑な気分なりますね(^-^;

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