「消費税が簡易課税!?」会計事務所での強烈な実体験②

会計事務所
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税理士ミス 訴え頻発

2019年12月の日経新聞の記事からの情報ですが、日本税理士会連合会保険サービスのまとめによると、税理士のミスによる賠償責任保険事故による支払いが、ここ5年間で件数が倍増しており、2018年の支払い件数は532件、支払金額は17億円ほどだったそうです・・・。税理士は、自分がミスをしてお客様から訴えられて損害賠償問題になった時のために、保険に入っています。これはその保険の支払いのことをいっています。なかなか厳しい数字ですよね(^-^; 税理士を目指している私ですが、こういう記事を見るとリスクも高いなーと、複雑な気持ちになります(^-^; ただ、記事によると、支払金額で多かった事例は次の2つだそうです。
・消費税の「原則」「簡易」の有利判定ミス(もれ)
・「所得拡大促進税制」の適用もれ

まだ税理士になっていない私が言うのも大変おこがましいのですが、この2つで訴えられるのは、相当レベルが低いと思います(^-^; 消費税であれば、例外なく、その会社(個人も含みます。)の決算月に、翌期の消費税の申告方法について確認をすべきですし、所得拡大税制については、改正前は会社設立初年度を含めた、多くの場合で適用ができたはずで、業界でも話題にはなっていたと思います。こんなことで訴えられるなんて自業自得だと思うのですが、ただ、そう思うのも、私も過去に苦い経験をしているからです(^-^; 今回は過去にあった同じような「レベルの低い」出来事を書いていきたいと思います(^-^; 消費税の論点です。

業績が縮小し続けていた、ある会社での経験

もう9年くらい前の話になります。業歴が60年以上ある会社で、税理士替えで関与させて頂くことになったのですが、私が担当になって2、3回決算をやらせて頂き、4回目くらいの決算をむかえようとしていた頃です。その会社の業種は卸売業で、例年、年商が2億円ほどあったのですが、業界が徐々に縮小していたのと、社長が高齢化し後継ぎがいなかったこともあり、年商が年々下がってしまい、赤字が続いている状況でした。ただ、銀行借り入れもなく、身の丈にあった経営をしていれば何とかなっており、税務的な問題もあまりなかったので、我々との顧問契約は、年に1度の決算を行うのみになっていました。
そこで決算の時期がやってきました。当時はまだ電子申告ではありませんでして、税務署から会社に届く紙の申告書を見て、担当者は「青色申告か」「中間納付税額」「消費税は原則か簡易か」などを再確認していました。そしてその紙の申告書を確認したときです。なんと消費税の申告書に「簡易課税」と書いてあるではありませんか(;゚Д゚) 一瞬時が止まりました・・・。何かの間違えではないかと思いました・・・(@_@) 今の今までいわゆる原則だと思っていたのです。確かに、2期前の課税売上高は5000万円以下でした。改めて税理士替えのときの資料見返したのですが、「簡易課税選択届書」の控えは見当たりませんでした。消費税が導入された平成元年から、簡易課税も同時に施行されています。恐らく、以前に5000万円以下だったときがあり、その頃に前の税理士先生が届け出を行っていたのでしょう。簡易課税は、「選択不適用届出書」を提出しない限り、ずーっと効力が続きます。当時私も若く経験が浅かったため、この期が始まる前の確認で、「前期が5000万円以下だけど、ずっと年商2億程度だったから簡易なんて提出していないだろう」と思い込んでいたのでしょう・・・。ダウナーな状態で申告書を作成してみると、この会社は仕入れもさほどなく、在庫をさばいている状態だったので、課税仕入れが少なく、簡易が有利という結果になりました・・・。

チェックの徹底を・・・

ということで、結果的には事なきを得たのですが、苦い経験でもありつつ、前向きに捉えるならば、非常に良い経験をさせてもらいました。期が始まる前に、翌期の消費税の申告はどうなのか、検討事項があるのか、徹底してチェックしなければいけないと思いました。この時のケースであれば、5000万円以下となった時点で、会社に過去の控え書類を再度確認するか、税務署に問い合わせをしてみるなど、方法はあったと思います。また、業績が縮小しているのであれば、新しい仕入れはあまり行わないだろうから、簡易の方が有利なのではないかと、事前に検討すべきだったとも思います。税理士試験としては消費税はかなり苦労して合格したので、ちょっと思い入れもあり、実務でも大いに生かしていきたいと思っています(^-^; 
ちなみにこの会社はその後さらに縮小し、翌期が免税事業者になるという場面をむかえました。この会社はその時も在庫を抱えていました。ということは消費税の申告で「棚卸資産の調整」が必要ですね(^^) いわゆる「タナチョウ」です。これは忘れませんでした(^-^; 免税事業者→課税事業者の「棚卸資産の調整」は良くやると思うのですが、逆はこのとき初めて行いました。

業歴がある会社の担当をすると色々な経験をさせてもらえるなーと思った、若かりし頃の思い出の話でした(^-^;

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