記帳代行とは?①「会計事務所の実務:その1」

会計事務所
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会計事務所って何をしているところか、いまいちわかりづらくないですか?
私もこの業界に転職するとき、具体的に何をするのかは、正直わかっていませんでした(^-^;
今後、数回にわたって会計事務所の実務について、まとめていきたいと思います。
会計事務所の仕事に興味を持っている方などにご参考にして頂けると幸いです。

その1ですが、「記帳代行」をテーマにしたいと思います。
会計税務の一連の流れですが、
おおまかには「商取引」→「帳簿に記帳」→「月次決算」→「本決算」といった感じです。
記帳代行とは、この「帳簿に記帳」の部分を、会計事務所が請け負うことです。
この「帳簿に記帳」ですが、実は会計事務所が請け負う場合と請け負わない場合があります。ここは会計事務所のスタンスが分かれるところにもなります。請け負わない場合は、その会社が自分で記帳をすることになるのですが、このことを「自計化」と言ったりします。

記帳代行を請け負う場合

記帳代行を請け負う場合の業務の流れは下記のようになります。
①1か月がしまったら、必要な資料をお客様から預かる。
②会計事務所側で、会計ソフトに入力する。
③入力後のデータをチェック。
④月次試算表が完成。

この場合ですが、お客様側への入力指導などの業務を行わず、入力業務を会計事務所側で行うため、ここに非常に労力がかかり、ここに人員が必要になります。また、毎月資料を預かり、返却するという、物理的なコストもかかります。最近ではクラウド会計が普及し、この入力業務の負担を減らす動きになってきていますが、クラウド会計のことを記事にすると非常に長くなるので、この部分は別の機会にまとめます。
記帳代行をしている理由は、下記のことが考えられます。
・単純に、会計事務所のサービスの一つとして積極的に提供している。
・お客様側で入力する人員を確保できない。
・会計事務所側で、お客様の記帳指導をできる人材が育たない。
・実務経験が浅い人が最初に行う業務としてちょうど良い。

記帳代行を請け負わない場合

記帳代行を請け負わない場合の業務の流れは下記になります。
①お客様側に会計ソフトを導入する。
②お客様側の担当者に入力業務の指導をする。
③1か月の入力が終わったら、入力データをもらう。
④入力データをチェックし、お客様側に入力のレビューをする。
⑤月次試算表が完成。
この場合は会計事務所側で入力業務を行わないので、作業面ではかなり負担が軽いです。チェック業務がメインになりますね。また、お客様側に入力を指導するという立場になるので、会計事務所側の担当者の能力も問われることになります。比較的大きな会社や業歴が長い会社は自計化していることが多い傾向にありますが、この場合、我々税務担当者よりお客様側の担当者の方が税務会計に詳しかったりして、少しやりづらいこともあります(^^;)

日本には会社が約358万社が存在し、そのうち357万社は中小企業だそうでして、その割合は実に99.7%になります。会計事務所は、主にこの中小企業をお客様としています。
中小企業もさまざまですが、先ほど上げた「経理に人員コストをかけられないので、会計事務所に記帳業務を委託している。」というケースが多くあります。社長が経理を兼務していることは珍しくありません。

また、会計事務所側からすると、お客様側に入力の指導をするというのは、それなりの経験と高度なコミュニケーション能力を必要とします。このような人材を育てるのは非常に難しいため、だったらこっちで入力してしまった方がラク、といったことも、記帳代行をしている理由だと思います。

どちらが良いか、というのはなく、会計事務所の方針によるのだと思います。会計事務所が付加価値を高め、効率良く儲けることとを追求するのであれば、「自計化」の方が良いと思いますが、お客様側と会計事務所側の双方に問題があり、なかなかできないのも現実だと思います。また、クラウド会計なるものが登場し、この部分の考え方も変わってきています。

少し長くなってしまいましたが、まだ記帳代行を行っている会計事務所も多く、記帳代行が重要な業務であることは変わりません。
次回「記帳代行とは?②」では、
記帳代行をする場合の具体的な手順や問題点について、書きたいと思います。

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